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電通ベンチャーズ投資先レビュー:クラウドファースト・スマートフォン「Robin」を提供するNextbit社

9.15 2015

今回は電通ベンチャーズより新たに出資を決めたNextbitの製品について、もう少し詳しくご紹介したい。

Nextbitはサンフランシスコに拠点を置くモバイル・スタートアップである。同社がリリースを予定しているスマートフォン「Robin」はKickstarterのクラウドファンディングにおいて約6日間で90万ドル以上を集め、大きな注目を集めている(2015年9月1日よりキャンペーンを開始)。

Robinがリリースされるのは2016年初旬となるが、我々は出資を検討する過程にてNextbitの経営者に製品開発への想い、将来のビジョンを確認すると共に、Robinの試作品にも触れる機会を得た。

こちらが2016年にリリースされる Robin の外観になる:

Nextbitのデザイナーであるスコット・クロイル氏は元HTCのトップデザイナーという事もあり、Robinの外観はシャープ、かつしっかりとした印象を受ける作りとなっていた。ディスプレー側面にはデュアルスピーカー、本体上端部には通知を知らせるLEDランプ(端末画面が裏向きに置かれていても通知を認識可能)、背面にはクラウドとの連携を示す4つLEDランプが並ぶ。また、Kickstarterのページでは大体的に取り上げていないが、端末側面には指紋センサー、底部には充電用のUSB-Cポートが設置されていた。

また外観だけではなく、Robinの端末スペック/仕様も非常にしっかりしている。Snapdragon 808プロセッサー、13メガピクセルのカメラ、豊富なメモリ、2680mAhのバッテリー、短時間充電機能、NFC搭載、トーンの異なる2種類のカメラフラッシュ、32GBのストレージと充実した作りとなっている。

Nextbitは端末スペック以上にソフトウェアの性能に重きを置いている。

Robinは32GBの内部ストレージを搭載しているが、別に100GBのNextbitクラウドストレージを利用できる。Nextbitクラウドは、他のクラウドストレージと違い、ユーザーがデータをプッシュする仕組みではなく、ユーザーがバックアップを意識する事なく、クラウドへデータをバックアップし、常に端末側のデータ容量の最適化を行う。例えば、あるアプリケーションを一定期間利用しない場合、そのアプリケーションのアセット(アプリ内の個人データ、プレイデータなど)をクラウドにシームレスに転送し、ユーザーのローカルストレージの空き容量を増す(各アプリケーションの利用状況をRobinが学習)。また写真なども解像度の高い写真をクラウドにバックアップし、適切なサイズの写真としてローカルに保存、印刷などで解像度の高い写真が必要になったタイミングでクラウドからのリストアを可能にしている。バックアップをとったコンテンツのリストアは、元の設定状況と共にリストアするため、改めてログインなどする必要がなく、スマートフォンの機種変更などにも役に立つ。

ユーザーがバックアップを意識する事なく、また煩わしい設定などが不要なクラウドサービスは、他のクラウドサービスとは差別化が図れるNextbitの特徴の1つと言える。(OSはAndroid (Lollipop)となっており、Google Playより好きなアプリケーションをダウンロードし利用可能。)

以上は、これまでNextbitが発表した内容にすぎないが、同社は今後もクラウド関連機能をさらに拡充し、新しい機能をRobinに付加していく予定だ。

クラウド統合のスマートフォンを提供していくにあたっては、バッテリーやネットワーク負荷に関する課題など、今後改善すべき点も沢山あるが、複数の処理を端末側のハードウェアに結びつける事を止めれば、よりユーザービリティーの優れた環境を提供できるとNextbitは信じている。

2016年のリリースまでには幾つかの課題に直面する可能性もあるが、RobinとNextbitクラウドをみなさまにお届けできるよう、電通ベンチャーズもGoogle Ventures、Accel Partnersなど他の投資家と共に当社を支援していきたい。

Kickstarterでのキャンペーンページは以下の通り(2015年9月末まで)

https://www.kickstarter.com/projects/nextbit/robin-the-smarter-smartphone